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ITなどの雑記

「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を読んだ

面白かったので買って1日で全部読めた。ホットなうちに感想を書きました。 念のためですが私は医療や食の専門家ではないので書いてることは鵜呑みにしないでください。

本書の特徴

色々な健康法へのアンチテーゼ

間違った健康情報がはびこる理由

医学部は食事や栄養に関することをあまり習わないため食事に関する知識を持っている医者は少ない。逆に食事・栄養の知識を持つ栄養士は統計学や疫学の知識を持っている人が少ない。と言うのが著者の主張。「健康的な食事」という情報を発信するスキルセットを持っている人材は少ないらしい。

そのような情報が、各団体のロビー活動やマーケティング、マスメディアによるアクセス稼ぎのための過剰な表現などでさらに歪められた形で発散される。

書き方が誠実

各食品に関して「体に悪い」や「健康によい」で済ませている箇所が少ない。

  • XXガンのリスクがXX%上昇する。
  • XXの病気のリスクは下がるがガンへの影響は少ない。

など病気やガンへのリスクを細かく説明している。 ガン予防に効果的だけど、普通の病気の改善には使えなかったり、 健常者にはリスク増加の影響があるが、病人には症状を緩和するなど。

銀の弾丸的な食品紹介がなく、非常に誠実的な印象を受けた。

新しく知ったこと

乳製品の取りすぎは前立腺癌リスクを上昇させる

牛乳1~2杯、ヨーグルト170g~450gが上限とのこと。 日本では様々な政治的圧力により、「できるだけ摂取しないように」という主張が難しいらしく「1日XXくらい摂取しましょう」という表記になってしまうとのこと。乳製品の健康リスクは今まで乳糖不耐症がらみのことしか聞いたことがなかった。

背が高くなるために牛乳をたくさん飲みましょう、みたいなのはよく聞きますが有害情報ですね。*1

野菜ジュースと健康効果

  • フルーツ:体に良い
  • フルーツジュース:体に悪い
  • 野菜:体に良い
  • 野菜ジュース:体に良いか不明

フルーツが体に良いことに反して、フルーツジュースが体に悪いことはすでに研究されているが、 野菜が体に良いことに対して野菜ジュースが体にどのように影響を与えるかはまだ信頼できるエビデンスがないとのこと。

卵一日に何個も食べても健康被害はない説は間違い

卵のコレステロールは消費しても血中コレステロールにそれほど影響しない、という話が一般的に広まり、 卵は1日1個までから何個でも食べてもOKという風潮があるが、本書によると

血液検査のスコアに影響はないが、糖尿病リスクが上昇するとのこと。根拠とされている論文の概要を読んだが。 卵消費は心臓病のリスクとは関連していないが糖尿病発症リスクの増加とは関係しているとのこと。 卵は安くてタンパク質などの栄養が豊富で調理も簡単なので重宝していましたが、控える必要がありそうです。

著者の結絵検査の結果よりも病気のリスクを気にしろという主張も納得が行きます。 ちなみに卵は一週間に6個までが良いとのこと。

疑問点

ビタミンサプリが体に悪い理由がよくわからない

カロリーメイトやビタミン野菜みたいな、1日の推奨ビタミンに合うように栄養を添加している食品*2が好きなのでこの情報はちょっとショックでした。 ですが、この節は体に悪い理由がサプリによる摂取(質的な問題)が原因なのか、耐容上限Overによるもの(量的な問題)なのかが不明でした。

例えばβカロチンのサプリの件は、そもそもビタミンAの類は耐容上限が定められているのでサプリで取らなくても人参を食べまくれば体に悪いと思います。

根拠としている論文を見に行ったところ、

https://academic.oup.com/jnci/article/96/23/1743/2521077

毎日βカロチンを30 mgを摂取で調査したらしいがこれは耐用上限に対してどれくらいの量かと言うと

30mg = 30000 μg 30000 /12 = 2500㎍RAE

参考:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html

となり、実験で摂取したβカロチンだけで成人のレチノール活性当量の耐容上限(2,700㎍RAE)にかなり近い数値になっている。*3 βカロチンをサプリで取ることが危険、ではなくβカロチンをサプリで耐容上限近く摂取すると危険ということしか言えないと思うのだが。

このトピックはもう少し論文を読むなどして勉強する必要がありそうです。

サプリが良くない根拠として挙げられている他の論文

グルテンフリー

セリアック病でない健常者が摂取することによる効果を裏付けた研究がないことから、 批判的なスタンスを取っているが、

世の中には、グルテンを摂取することで頭がぼーっとする、もしくはお腹がやたらと春などの理由でグルテンを控える人もおり、それが目的であればグルテンを減らすのも一理あるかもしれない

との一文が入っているが、著者的には健康的=病気のリスクが減るで、日々の快調とかはまた別の話なのでしょうか? いずれにせよグルテンフリーで快調になるなら、そっち方面の研究も気になります。(まだ存在しない?)

バターコーヒーなども信頼できる研究がないことを理由にバッサリ切り捨てていますが、いずれ研究する人が出て何らかの結論が出るのでしょう。

成分より食品

食品を成分の集合体としてのみ捉える考え方を栄養至上主義(ニュートリショニズム)と呼ぶ

私もスペック厨的なところがあったのですが、本書では明確に批判するスタンスを取っている。 割と世間一般的に誤った考え方のようですが、なぜ成分信仰がダメのかよくわかりませんでした。

いかのリンクの

ニュートリショニズムは、個々の栄養素について言及されることが多いが、様々な栄養素の相互作用が及ぼす人体への影響についての考察に欠けていることが多い

http://ebis.nutritio.net/hn/modules/pico/index.php?content_id=487ebis.nutritio.net

この辺が理由なのでしょうか。

含有成分的に、最強の野菜はモロヘイヤ*4だと思っているのですが、これはビタミンやらミネラルの成分だけを見て到達した結論なので、モロヘイヤは最強ではないのかもしれません。

総合的にオススメです

*1:運動部だったから毎日牛乳 1L飲んでる、などよく聞いた。

*2:カロリーメイトやビタミン野菜等

*3:ちなみに推奨量は800~900㎍RAE

*4:ビタミンAの取りすぎには注意