映画ファイトクラブは約10年前(高校生くらい?)に初めて見て、それから何度か見直したことがある。今回は小説を読んでさらに映画も見直して見た。映画公開20周年らしいから便乗してブログにしてみました。
※本エントリはファイトクラブ映画版・小説版のネタバレを含みます。
prime videの対象になっているので興味ある人はこのエントリ読む前に見てください。すごく面白いかと言われるとあんまり自信を持ってオススメはできないですが、割と名作と名高いのでみておいて損はないかなと思います。私自身小説を買って読んで態々映画も見直したので好き*1な映画です。
映画の概要
この映画の概要は人生に飽き飽きしてきたアラサーの男達が夜な夜な駐車場やバーの地下に集まって殴り合いでストレス解消するクラブを作ってハマり、やがてクラブが過激化・暴走してきて街を破壊(革命)するようになるというものです。映画では富の再分配を、小説では歴史の再建を目的に破壊活動が勧められます。
ストーリーの重要なポイント(ネタバレ)は、ファイトクラブの創設者、リーダー、カリスマ的存在であるタイラーダーデンは実在せず、いわゆる二重人格で"僕"のもう一人の人格であり、治りつつある不眠症の睡眠中は眠っている訳ではなく、夢遊病的にタイラーとして活動している。そしてストーリが続くにつれ僕の睡眠時間はどんどん伸びてしまっている(タイラーに身体を乗っ取られつつある)
そして"僕"とタイラーは爆弾が仕掛けられたビルので上で2人で戦います。
※二重人格であるストーリーの都合上、主人公の名前は最後まで明かされません。本記事では小説での一人称表記に倣って主人公を"僕"として書きます
なぜ小説を読んだか
小説版を買って読んだ動機としては、以下の最近バズったツイートに非常にファイトクラブ的なものを感じた*2のと、
この映画のラストに長年納得が行かなかったのでモヤモヤしていたからです。映画のラストで"僕"は自分の頭を撃ち抜いて、別人格のタイラーだけ殺害。自分は生きていて、恋人のマーラとビルが爆破されていく光景をバックにpixiesのwhere is my mind?が流れるという謎エンドです。これちょっと意味が分からなかった。
なぜ"僕"はタイラーに勝てたのか
小説版を読んだところ、なんと謎が解明しました。僕とタイラー両方死にます。 いや、正確にはタイラーが死んだかどうかは明示されていませんが、少なくとも"僕"は死にます。死後の世界で神様と対話して地上には戻りたくないというところでお話は終わります。
警察のヘリコプターが轟音とともに迫ってきていたから、マーラや自分のことさえ救えない互助グループの面々がそろってぼくを救おうとしていたから、ぼくは引鉄を引くしかなかった。現実よりもこっちのほうがましだった。そして、ただ一度の完璧な瞬間は永遠には続かない。天国ではすべて白地に白だ。
- つまり原作では"僕"は自殺しただけでタイラーに勝ってなどいなかったのです。
映画と原作で違うところなど
- タイラーは"僕"の理想像ではない
こうなりたいという理想像が俺
このセリフも映画にしかありません。映画版に比べてタイラーが神格化されていないというかショボい感じがします。映画にブラピ(タイラー役)出すに当たって色々と脚色が入ったのかしら。
- ”僕"がいるビルが爆破されない理由が違う
映画ではビルが破壊されないのは"僕"が起爆装置を壊したから。小説版では爆弾の調合に失敗している。
ところが何も。何も爆発しない。ぼくは舌で銃身を生き残った頬によけて言う。タイラー、さてはニトロとパラフィンを混ぜたな。パラフィンがうまくいったためしはないよ。
小説版で爆発しなかったのはタイラーのミスなのか意図的なものなのかは謎。映画版ではタイラーの仲間のテロリスト達がビールを持ってビルのタイラーがいるフロアに向かってきのも謎(爆破されることを聞かされていない?)
- 映画では上司はタイラーによって爆殺されない
代わりに?上司が食らった爆弾(ブラウン管にガソリンを流し込む爆弾)はLightningというApple Storeを模した店を破壊する時に使われます。この映画公開後十数年後にAppleがLightningという名前を端子に採用したのが感慨深い。
- 自分を臓器に例えるポエムの一部がない
僕はジャックの心臓です
みたいな短文が小説のいたるところに散りばめられているけど、あれは
ぼくはタイラーの口です
タイラーの口から二重人格であることを告げられる前にこの一文を書くために、カモフラージュするために散りばめられていたのだと思うのだが、「ぼくはタイラーの口です」のセリフは小説版にしかないので、映画の自分を臓器に例えるポエムは意味不明なものになっている。*3
- ラストのマーラとのシーン
これからはすべてうまくいく
映画版ラストのマーラに語りかけるこのセリフは原作にはありません。
人々は天国のぼくに手紙をよこし、ぼくは忘れられていないと言う。ぼくは彼らの英雄だと言う。ぼくはきっとよくなると言う。
うーん似たようなセリフはあるが...

- 作者:チャック・パラニューク
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: 文庫