- 作者: D・カーネギー,山口博
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2016/01/26
- メディア: 単行本
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自分の人生を振り返って見ると、コミュニケーションでの成功体験というのがない。 そこで人付き合いの王道と言われる本書を読んでみた。
多くの自己啓発本では、 「あなたが素晴らしい人になりましょう、すると周りは自ずとついてきます」的な 人格の向上を謳っている印象があるが、本書はちょっと毛色が違っていて *1
「釣り針には魚の好物をつけるに限る」*2
なんて言葉が出てきてちょっと捻くれたようなスタンスで話が進んでいく。 シニカルでテクニックに走った本なのかと思ったが、 最終的に「私」と「相手」の信頼関係の話に落ち着く。
最終的に動くのはその人の「意思」によるもの
他人を脅したり、騙したり、命令して動かそうと思ってはいけない。 長続きしなかったり、動いてもアウトプットの質が低かったり、 監視の目が届かないところでサボるようになる。 だから、あくまでその人の自発性を引き出すことが重要。
相手の立場に立って考える
何を当たり前のことを、と読んでるときは思ったが、 犯罪者や死刑囚でさえ自分が正しいと考えている。 だから、どちらが正しいか?は「人を動かす」の視点からはあまり重要ではない。
相手の価値観に近い視点で
- 「私」の提案が「相手」の利益になること
を説得力のある言葉で納得させることが重要。
主に値下げ交渉などの例で説明されている。
間違いを指摘しない
門外漢だったり知ったかぶりで間違ったことを言ってる人に遭遇したことない人はいないだろう。 利害関係がなかったり、自分よりその場の力関係が弱かったりすると間違いを指摘しがちだ。
本書ではカーネギーがある言葉の引用元(聖書orハムレット)を巡ってパーティで議論になったエピソードが書かれている。
聖書に関する書籍の編纂をしているときには議論する価値のある問題だと思うが、 雑談だとか、無関係の会議では議論する必要は全くないだろう。 本書では議論は可能な限り避けるべき、必要のあるときは慎重に行うべきとされている。
遠慮がないことと思いやりがないことは違う
本書に関連しそうなことが話されていたrebuildの回を思い出しました。
8分くらいからの内容
指摘をしないのはそれで問題。 間違いは遠陵なく指摘するべき。 遠陵がないことと思いやりがないことは違う。 思いやりを持って遠陵なく指摘することはできるでしょ。
(このエピソードは伊藤直也さんがデタラメAIの間違いを指摘しようとした話とか、かなり示唆に富んでいる。。。)
間違いを指摘するなとすぐ上で書いたけど チームとして仕事をするならかなり大事な視点だと思う。 成果を上げることが目的でチームを組んでいるのに、ご機嫌とりに終始し、作業効率が落ちるのは問題。でも思いやりは持っていたい。
要点
動かしたい人と自分の間に信頼関係があるかどうか、というのが重要。 その信頼をいかに築いていくか、壊さないようにするか、が重要。 要点を箇条書きでまとめる
ポジティブなコミュニケーションを増やす
- 承認欲求を与える
- 重要な人物として扱う
- 尊敬する
- 関心をもつ
- 褒める
- 相手の立場に立って考える
- 誤りを認める
ネガティブなコミュニケーションを減らす
- 間違いを指摘しない
- 無意味な議論を避ける
- 命令しない
- 暗示で与える
- 小言や暴言を控える